論文紹介

第34回論文紹介(2019.10更新)

グループ名
生体機序論グループ
著者

酒井 芳樹、花房 洋、ストラヒル パストゥホフ、清水 達太、李 春、久本直毅、松本 邦弘

タイトル(英)
TDP2 negatively regulates axon regeneration by inducing SUMOylation of an Ets transcription factor
タイトル(日)
TDP2はEts転写因子のSUMO化を誘導することで神経軸索再生を負に制御する
発表された専門誌
EMBO reports, in press (2019).

線虫C. elegansでは、神経軸索を切断するとEts型転写因子ETS-4がsvh-2遺伝子の転写を誘導し、それにより軸索再生を促進するシグナルが活性化する。今回、我々はその転写誘導および軸索再生に必要な新たな転写因子として、Maxの線虫ホモログMXL-1を同定した。哺乳動物において、Maxは同じく転写因子であるMadとヘテロダイマーを形成することでDNA結合能を獲得し、協調して遺伝子発現を制御する。線虫のMadホモログMDL-1も同様にMXL-1とヘテロダイマーを形成するが、軸索再生ではMXL-1に対してむしろ阻害的であった。そこで新たなMXL-1結合タンパク質を探索したところ、チロシルDNAホスホジエステラーゼTDP2の線虫ホモログTDPT-1を同定した。TDPT-1はETS-4のSUMO化を誘導することでその転写活性を抑制しており、MXL-1はその機能を抑制することで軸索再生を促進する。さらに、MDL-1タンパク質は軸索切断後の神経で速やかに分解されていた。以上の結果から、非切断時にはTDPT-1がETS-4のSUMO化を誘導することでsvh-2遺伝子の転写を抑制しているが、軸索切断によりMDL-1が分解されると、MXL-1がTDPT-1を抑制することでETS-4のSUMO化を防ぎ、その結果ETS-4によるsvh-2遺伝子の転写誘導および軸索再生が起こることが示唆された。

図:TDP2によるEts転写因子のSUMO化とその軸索切断による解除機構


pagetop