論文紹介

第34回論文紹介(2019.10更新)

グループ名
生体機序論グループ
著者

久本 直毅、清水 達太、浅井 一真、酒井 芳樹、ストラヒル パストゥホフ、花房 洋、松本 邦弘

タイトル(英)
C. elegans Tensin Promotes Axon Regeneration by Linking the Met-like SVH-2 and Integrin Signaling Pathways.
タイトル(日)
C.エレガンスのテンシンは Met 類似の SVH-2 とインテグリンのシグナル経路を繋げることで神経軸索再生を促進する
発表された専門誌
Journal of Neuroscience 39: 5662-5672 (2019).

神経軸索の再生は種を超えて保存された機構であり、軸索が傷害を受けると発動し、軸索の伸長を誘導する。線虫C. elegansでは、再生の開始は増殖因子SVH-1とその受容体であるチロシンキナーゼSVH-2が、インテグリンからのシグナルと協調して、JNK MAP キナーゼ経路を活性化することにより制御されている。今回、我々は哺乳動物テンシンの線虫ホモログTNS-1が、この経路上で神経軸索再生を制御することを新たに見出した。TNS-1はSH2ドメインとPTBドメインを一つずつ持つが、生化学的解析から、前者のドメインはチロシン残基を自己リン酸化したSVH-2の細胞質ドメインと、後者のドメインはインテグリンβサブユニットPAT-3の細胞質ドメインとそれぞれ結合することが判明した。これまでの解析から、JNK経路上の因子であるMLK-1は、SVH-2によるチロシン残基のリン酸化と、インテグリンの下流で機能するプロテインキナーゼMAX-2によるセリン残基のリン酸化の両方を受けることが、その機能に必要であることがわかっている。そこでこれらのシグナルとTNS-1との関係について遺伝学的解析を行ったところ、TNS-1はこの2つのシグナルを繋げるアダプターとして機能しており、それによりMLK-1のチロシン残基とセリン残基の二重リン酸化を効率的に誘導することが示唆された。

図: TNS-1による神経軸索再生制御機構


pagetop