論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

小嶋 誠司、伊村 芳野、平田 ひかる、本間 道夫

タイトル(英)
Characterization of the MinD/ParA-type ATPase FlhG in Vibrio alginolyticus and implications for function of its monomeric form
タイトル(日)
MinD/ParAタイプATPaseとして機能するビブリオ菌FlhGの特徴と単量体機能の解析
発表された専門誌
Genes Cells 25(4):279-287 (2020)

FlhGはMinD/ParA型ATPaseであり、ビブリオ菌極べん毛形成の負の制御因子として機能している。Vibrio alginolyticusのFlhGは、べん毛形成の正の制御因子であるFlhFと拮抗的に働き、極べん毛を1本に制御している。精製したFlhGタンパク質は低NaCl濃度で凝集し、ADPやATPを加えることで凝集が抑制された。FlhGのATP結合部位(K31A)または触媒部位(D60A)の変異体は野生型と同様の凝集プロファイルを示したが、ATPase活性の上昇したD171A変異体では、ADPにより凝集が抑制された一方で、ATPにより強い凝集が引き起こされた。大腸菌で発現させ精製したFlhG、またはビブリオ菌細胞質中のFlhGをゲル濾過クロマトグラフィーで分析すると、FlhGは溶液中で単量体として存在し、ATPは二量体形成を誘導しなかった。K31AおよびD60A変異体は、ATPやADPの存在に関係なく単量体の位置に溶出したが、D171A変異体ではATP存在下でわずかに高分子量側へ溶出ピークがシフトし、ATPによる構造変化が示唆された。以上の結果から、FlhGは生体内において単量体として存在し、その活性化構造は凝集しやすいと考えられ、機能発現のモデルを提案した(図)

図:細胞極におけるFlhG機能の作業仮説

FlhGは細胞質に単量体として存在する。 ATPが結合すると、FlhGはモノマーとして、細胞極の足場膜タンパク質であるHubPと結合する。 HubPは、ATP結合FlhGの構造変化を誘発して、ATP加水分解の活性の上昇とFlhFと結合できるようになる。これにより、FlhGはFlhFと相互作用することで、FlhFのべん毛形成促進能を阻害する。FlhGに結合したATPが加水分解され、無機リン酸が放出されると、FlhGはその構造を変化させて、ADPとの複合体で安定な不活性状態になり、HubPから解離し、細胞の極から細胞質に分散する。


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