論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

Florencia Mengucci, Carolina Dardis, Elías J. Mongiardini, María J. Althabegoiti, Jonathan D. Partridge, 小嶋 誠司, 本間 道夫, Juan I. Quelas, Aníbal R. Lodeiro

タイトル(英)
Characterization of FliL Proteins in Bradyrhizobium diazoefficiens: Lateral FliL Supports Swimming Motility, and Subpolar FliL Modulates the Lateral Flagellar System
タイトル(日)
Bradyrhizobium diazoefficiensのFliLタンパク質の特性評価:側べん毛FliLは遊泳運動に必要であり、サブ極べん毛FliLは側べん毛系の発現調節する
発表された専門誌
J Bacteriol 202: e00708-19 (2020)

Bradyrhizobium diazoefficiensは、進化的に異なる2つのべん毛システムを持つ土壌αプロテオバクテリアである。構成的に発現しているサブ極べん毛と誘導性の側べん毛が、炭素源に応じて液体培地中で発現し、相互作用しながら遊泳に利用される。それぞれのべん毛系において、30以上のタンパク質をコードしている遺伝子が存在し、よく研究されている。その中で、FliLについては、αプロテオバクテリアではほとんど研究されていない例外であり、他の細菌においても機能についての報告に矛盾がある。B. diazoefficiensの各べん毛システムにはそれぞれのfliLパラログが存在する。我々は各fliLを欠失させた株ΔfliLS(サブ極べん毛)とΔfliLL(側べん毛)を取得し、それらの遊泳における機能を調べた。その結果、FliLLは側べん毛の運動に必須であることが明らかになった(図1)。FliLSは液体中でも軟寒天培地中でも遊泳には不必要であったが、粘性/べん毛負荷が増加した条件下では、側べん毛レギュロンの発現上昇に重要な役割を果たしていることが明らかになった(図2)。したがって、FliLSは遊泳には必須ではないと思われるが、側べん毛誘導を制御する機械応答に関与している可能性がある。

図1:B. diazoefficiensの遊泳速度に対する粘性の影響

細胞をHMY-アラビノース培地中で増殖させ、異なる濃度のポリビニルピロリドン(PVP)を含むHM溶液で希釈した。各測定において少なくとも60菌体の遊泳速度をMove-tr/2Dを用いて記録した。データは、t検定を用いて計算した平均±99%信頼区間である。A:両方のべん毛システムを有する野生型、または側べん毛繊維を欠くΔlafA変異体における、fliLS欠失の遊泳速度への影響。B:両べん毛系を有する野生型、または側べん毛繊維を欠くΔfliC変異体におけるΔfliLL欠失の遊泳速度への影響。ΔfliLL ΔfliC二重変異体は、いかなる条件でも泳がなかった。

図2:運動性ハローの境界から得られた個々のB. diazoefficiens野生型およびΔfliLS変異細胞の透過型電子顕微鏡写真

野生型(WT)またはΔfliLS変異体をPSY-arabinose(上)および- Götz-mannitol(下)軟寒天培地(0.3%)で生育させ、遊泳リングの先端(border of motility halo, BMH)、またはリング全体(whole motility halo, WMH)から菌を得て、電子顕微鏡観察を行った。 BMHの野生株はサブ極べん毛(矢じり)と1つまたは2つの側べん毛(矢印)を持っていたが、ΔfliLS変異体ではサブ極べん毛と3つ以上の側べん毛を持っていて、一部は部分的に束ねられていた(二重矢印)。対照的に、WMHでのべん毛パターンは、両方の培地でWT株と変異株の間で類似していた。


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