論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

Zhu, Shiwei, 錦野 達郎, 竹川 宜宏, 寺島 浩行, 小嶋 誠司, 今田 勝巳, 本間 道夫, Liu, Jun

タイトル(英)
In situ structure of the Vibrio polar flagellum reveals distinct outer membrane complex and its specific interaction with the stator.r
タイトル(日)
外膜複合体と固定子との特異的な相互作用を明らかにしたビブリオ菌極べん毛の菌体内直接構造観察
発表された専門誌
J Bacteriol 202:e000592-19 (2020)

細菌のべん毛は、細菌が泳ぐことを可能にする回転生物ナノマシンである。べん毛の回転は、膜に存在する回転子と固定子の相互作用によりモーターとしてトルクが産生される。ビブリオ菌では膜タンパク質であるPomAとPomBで構成される固定子が、回転子の周りに、ペリプラズムのペプチドグリカン(PG)層に結合すると考えられている。本研究では、鞘に覆われた極べん毛を持ち、超高速回転することが知られているVibrio alginolyticusのべん毛モーターのin situでの構造を明らかにするためにクライオ電子顕微鏡トモグラフィー法と遺伝子解析を組み合わせて解析した。これまでにない解像度でモーターのin situ構造を決定し、Vibrio固有のHリングやTリングの特徴的なタンパク質間相互作用を明らかにした。HリングはFlgTとFlgOの26コピーで構成され、TリングはMotX-MotYヘテロダイマーの26コピーで構成されることが分かった。 Tリングと固定子PomBサブユニット間の相互作用を電子顕微鏡によって初めて示した(図)。Tリングはビブリオ菌極べん毛の高速運動のための固定子ユニットのべん毛モーターへの組み込みを促進していると推測された。

図:固定子Bサブユニットの位置と結合部位の同定

(A)KK148株のビブリオ菌モーター上位部分のサブトモグラム平均構造の2次元(2D)断面図。 Hリングの構成タンパク質は、FlgO、FlgP、およびFlgTとしてラベルした。黒い矢印は、Tリングの下の未同定の追加密度を示している。 OM=外膜。スケールバー=10 nm。(B)KK148ΔpomABのビブリオ菌モーター上位部分のサブトモグラム平均構造の2次元(2D)断面図。矢印で示されている領域は、Tリングの下の密度の消失を示している。これは、Tリングの下のクライオET密度がPomBタンパク質に由来していることを示唆している。(C)PomBC5の原子構造をTリングの下の13個のクライオET密度(紫)に当てはめることができた。(D)拡大図は、PG結合部位を介して直接相互作用するダイマー内の固定子Bサブユニットと、Tリングの下部にある2つのMotXを示している。 (E、F)得られた密度マップ(メッシュ)に対するFlgT、MotY、MotX、およびPomBの原子モデルの重ね合わせ。モデルは、リボン図として表示され、パネルDと同様に色分けした。


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