論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
超分子構造学グループ
著者

Koh, F.; Narita, A.; Lee, L.J.; Tanaka, K.; Tan, Y.Z.; Dandey, V.P.; Popp, D.; Robinson, R.C.

タイトル(英)
The structure of a 15-stranded actin-like filament from clostridium botulinum.
タイトル(日)
ボツリヌス菌由来の15ストランドアクチン様線維
発表された専門誌
Nature communications 2019, 10, 2856.

ParM線維は、原核生物におけるアクチンホモログで、広い範囲の原核生物でプラスミド分配を担っているが、その構造は多様である。本研究では、そのうちの1つ、ボツリヌス菌のAlp40線維構造を、分解能4.2Åでクライオ電子顕微鏡法を用いて決定した。その結果、たった一種類の40 kDa程度のタンパク質が15本のストランドからなる非常に複雑で巨大な線維構造を形成することが明らかになった(図1)。

ストランド内部の構造はアクチン線維や、他のParM線維とよく似ている。しかし、ストランドの配置の様子はいままで知られているあらゆる線維構造とまったく違うものであった。線維は中心の一本のストランドとそれをとりまく中層の6本のストランド、さらにそれをとりまく外層の8本のストランドからなる。中心、中層、外層のストランド数が異なるため、ストランド間の相互作用も非常に多様で、8種類の互いに異なる相互作用が見られる。しかし、その全ての相互作用で、正電荷と負電荷が引き合う静電相互作用が中心的な役割を果たしていた(図2)。つまり、ストランド間の結合はほぼ全てフレキシブルな静電相互作用であり、その静電相互作用が積み重なることによって、全体としてはリジッドで巨大な線維構造ができている。これはタンパク質の自己集合としてまったく新しい形態で、興味深い構造である。

図1:

図2:


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