論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
超分子構造学グループ
著者

Matsuzaki, M.; Fujiwara, I.; Kashima, S.; Matsumoto, T.; Oda, T.; Hayashi, M.; Maeda, K.; Takiguchi, K.; Maeda, Y.; Narita, A.

タイトル(英)
D-loop mutation G42A/G46A decreases actin dynamics.
タイトル(日)
D-loopのG42A/G46A変異はアクチンの動態を抑える。
発表された専門誌
Biomolecules2020, 10.(5):E736

アクチン分子のD-loopは、非常にフレキシブルで自力では安定した構造をとれない。様々なアクチン構造を重ね合わせて表示すると(図1: 色つきの部分がD-loop)、全て違う構造をとっている。本研究ではこのフレキシビリティを抑えるとどうなるかを理解するために、D-loopにある3つのグリシン(酵母、植物からヒトまで知られているあらゆるアクチンに共通である)のうちの2つをアラニンに置換した。その結果、電子顕微鏡観察では線維構造の変化は観察されず、線維状態と単量体状態の自由エネルギー差にも大きな変化は無かった。このことは、D-loopの変異によって線維内のアクチン分子間相互作用の様式にほぼ変化が無いことを示唆している。一方、光学顕微鏡で線維の重合、脱重合速度をダイレクトに計測(図2a,b)したところ、重合、脱重合速度が大幅に遅くなった。また、線維の分解を担うコフィリンの結合が弱くなった(図2c)。つまり、線維がコフィリンにより分解されにくい。これらの結果は、D-loopのフレキシビリティがダイレクトに細胞内アクチンの動態の速度を規定していることを示しており、同時に、構造そのものだけではなく、構造のゆらぎがタンパク質の機能を決定していることを強く示唆している。

図1:

図2:


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