論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
超分子構造学グループ
著者

武田 修一、藤原 郁子、杉本 泰伸、小田 俊郎、成田 哲博、前田 雄一郎

タイトル(英)
Novel inter-domain Ca2+-binding site in the gelsolin superfamily protein fragmin
タイトル(日)
ゲルゾリンスーパーファミリータンパク質フラグミンにおける新規カルシウムイオン結合部位
発表された専門誌
Journal of Muscle Research and Cell Motility, 41 (1) 153-162 (2020)

細胞骨格タンパク質アクチンは、主に単量体が重合してできる繊維体(Fアクチン)として機能する。フラグミンは当講座の元教授、秦野節司らによって真正粘菌Physarum polycephalumより単離された、哺乳類ゲルゾリンのファミリータンパク質で、3つのよく似たドメイン(F1, F2, F3)から構成される。フラグミンはカルシウムイオン(Ca2+)存在下でFアクチンを切断し、そのCa2+結合部位はゲルゾリンタンパク質間で高く保存されている。切断は二段階反応である。(1)F2-F3を介してFアクチン側部へ結合し、(2)F1がアクチン連結部に潜り込みこれを断ち切る。本研究では初期段階を担うF2-F3に注目した。まず結合アッセイ(共沈実験)により、F2-F3はCa2+存在時にのみFアクチンと結合することを示した。これは、Ca2+の有無にかかわらずFアクチン結合能を持つゲルゾリンの相同領域(G2-G3)とは対照的である。次にX線結晶構造解析によって、F2-F3の立体構造を2.1Å分解能で決定した。F2-F3の全体構造は活性型G2-G3と似ていたが、保存された部位の他に、新規部位(二つのドメインの間)へのCa2+の結合が観察された。結晶構造からは、さらに別の部位へのCa2+の結合が示唆され、これらがフラグミンが示す高いCa2+感受性の原因となっているものと考えられる。

図1:フラグミンF2-F3ドメインのX線結晶構造


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