論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
超分子構造学グループ
著者

Narita A

タイトル(英)
ADF/cofilin regulation from a structural viewpoint.
タイトル(日)
構造学的視点から理解するADF/cofilin制御機構
発表された専門誌
Journal of muscle research and cell motility 2020, 41, 141-151.

アクチンは真核生物の中で、細胞を動かし、細胞の形を作り、細胞を分裂させる。細胞同士の連結、物質の取込、排出など非常に多くの現象で重要な役割を果たしている。ADF/cofilin(以下コフィリン)は細胞内でアクチン線維の分解を担う。コフィリンがいないと細胞内のアクチン線維の分解速度は1/100以下になると言われる。アクチン線維を形成するには、分解された線維から放出されるアクチン単量体が必要であるから、コフィリンがいないとアクチンが関係するほとんどの細胞機能の速度が1/100になるわけで、その重要性がよくわかるだろう。

当然ながら、コフィリンは様々な方法で制御されるが、その制御機構には謎が多い。例えばリン酸化コフィリンはアクチン線維への結合が非常に弱くなるが、私達が以前解いたアクチン-コフィリン複合体構造を見ると、コフィリンにリン酸が結合していても、そのリン酸がアクチンにクラッシュするようなことはない(図1)。また、コフィリンはアクチン線維に張力がかかるとその線維に結合できなくなると言われているが、最近張力をかける方法が違えば、張力がかかっていてもコフィリンは線維を切断できることが報告された(図2)。本論文では、このようなコフィリンの制御機構について何が現在理解されていて、何がわかっていないのかを、過去の様々な論文と私達が明らかにした構造をベースに議論している。

図1:

図2:


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