論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
細胞間シグナル研究グループ
著者

太田 崚友、大久保 祐里、山下 恭子、小川-大西 真理、松林 嘉克

タイトル(英)
Shoot-to-root mobile CEPD-like 2 integrates shoot nitrogen status to systemically regulate nitrate uptake in Arabidopsis
タイトル(日)
葉から根へ移行するCEPD-like 2ペプチドが地上部の窒素状況を統御し根の硝酸吸収を制御する
発表された専門誌
Nature Communications 11, 641 (2020)

根から吸収される窒素は植物の成長に最も重要な栄養素のひとつであり,葉でアミノ酸やタンパク質へと変換されます.この過程には,窒素を消費する地上部(葉)と土壌から吸収する地下部(根)の間で,窒素の需要と供給のバランスが保たれています.すなわち,地上部が成長する時期には,窒素需要が高まるので,根から多くの窒素を吸収する必要があります.しかし,根はどのように地上部の窒素需要を知るのでしょうか.今回,私たちは,地上部の窒素需要が高まる(窒素不足になる)と葉で作られ,篩管を通って根に移行して窒素吸収を促進させるペプチドを発見しました.CEPDL2と名付けたこのペプチドは,根の表皮にまで移行して硝酸取り込み輸送体の発現を上昇させ,葉の要求する硝酸の取り込みを促進させます.これを作れない植物は,地上部の窒素需要が高まる生育後期に葉が小さくなって,正常に生育できません.この結果は,刻々と変動する栄養環境への植物の適応のしくみを理解する上で重要な手がかりとなり,今後の農業分野への応用に期待されます.

図1:今回の発見の要点.地上部の窒素需要が高まる(窒素不足になる)と葉でつくられ、根に移行して窒素吸収を促進させるホルモンCEPDL2を発見した.

図2:CEPDL2遺伝子を欠損させると,地上部の窒素需要が高まる生育後期に葉が小さくなって,正常に生育できない.


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