論文紹介

第35回論文紹介(2020.7更新)

グループ名
生殖生物学グループ
著者

榮 雄大、及川 彰、杉浦 悠毅、三田 雅敏、中村 修平、西村 俊哉、末松 誠、田中 実

タイトル(英)
Starvation causes female-to-male sex reversal through lipid metabolism in the teleost fish, medaka (Oryzias latipes)  
タイトル(日)
飢餓状態に置かれたメダカ幼魚は脂質代謝が変化してメスからオスへと性転換する
発表された専門誌
Biology Open 9, bio050054. (2020) DOI:10.1242/bio.050054.

哺乳類もメダカもY染色体を持っていると身体はオスになります。これらの動物では、性を決める遺伝子が働いた後、一定の期間を経て身体がメスあるいはオスになります。この期間にメダカの稚魚を飢餓状態にすると、Y染色体を持たないにもかかわらず、本来メスのメダカの20%が精子を作ることができるオスになることがわかりました。

この原因を探るために、メダカの稚魚が持つ代謝物を網羅的に測定しました(メタボローム解析)。その結果脂肪の合成に関わる代謝物の量が飢餓によって変化することを見出しました。そしてこの代謝物を作り出す代謝経路、CoA 合成経路や脂肪合成経路を薬理学的に阻害するとやはりオスが出現することがわかりました。また脂肪酸構成酵素の遺伝子 Fasn の変異体では、メスの生殖腺においてオス化の遺伝子 dmrt1の発現が認められました。
性を決める準備期間での飢餓状態や脂肪を合成する反応が性に影響を与えるという、性を決めるメカニズムの一端が明らかになりました。

図:


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