第36回論文紹介(2020.11更新)
- グループ名
- 生体膜機能グループ
- 著者
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Terashima H, Hirano K, Inoue Y, Tokano T, Kawamoto A, Kato T, Yamaguchi E, Namba K, Uchihashi T, Kojima S, Homma M.
- タイトル(英)
- Assembly Mechanism of a Supramolecular MS-Ring Complex To Initiate Bacterial Flagellar Biogenesis in Vibrio Species
- タイトル(日)
- べん毛形成の開始点であるMSリングのビブリオ属における構築メカニズムの解明
- 発表された専門誌
- Journal of Bacteriology, 202(16), e00236-20, (2020)
細菌べん毛は、細菌の持つ運動器官であり、回転モーターとして機能する。細菌べん毛の構築は、細胞質膜上のMSリングの形成によって開始される。MSリングは、2回膜貫通型タンパク質FliFが数十個集合して構成される。べん毛の本数や形成位置は、ビブリオ属菌ではFlhFとFlhGによって制御されている。しかしながら、ビブリオ属菌におけるMSリングの形成を開始する因子や、MSリング形成におけるFlhFの関与については明らかにされていない。本研究において、我々は、FlhFがビブリオ属菌のMSリング形成を促進することを示した。大腸菌内でビブリオFliFを単独で発現させた場合、MSリング形成はほとんど起こらなかった。一方で、FlhFとの共発現によってMSリングが効率的に形成された。また、FlhF がFliFを細胞極に局在させることが明らかとなった。興味深いことに、FlhF以外にも、MSリングでCリングを形成するFliGとの共発現によってもMSリングの形成が促進された。一連の結果は、FlhF、FliGが翻訳されて合成された新生鎖FliFの適切な空間的/時間的制御を行い、MSリング形成及び最終的にはべん毛形成を制御していることを示唆している(図)。

今後の予定