論文紹介

第36回論文紹介(2020.11更新)

グループ名
動物器官機能学グループ
著者

伊藤 翼、竹内 未紀、坂神 満理奈、浅川 和秀、隅山 健太、川上 浩一、清水 貴史、日比 正彦

タイトル(英)
Gsx2 is required for specification of neurons in the inferior olivary nuclei from Ptf1a-expressing neural progenitors in zebrafish
タイトル(日)
ゼブラフィッシュにおいてGsx2はPtf1a陽性神経前駆細胞から下オリーブ核ニューロンへの運命決定に必要である
発表された専門誌
Development (2020) 147, dev190603. doi:10.1242/dev.190603

小脳は発生初期段階では後脳領域から形成される。後脳は菱脳節と呼ばれる7つの分節構造を持ち、特に後脳後側領域の第4-7菱脳節のパターン形成には、Fgfやレチノイン酸の濃度勾配が関与する。第1-7菱脳節の脳室帯ではプロニューラル遺伝子であるptf1aは発現しており、各菱脳節のptf1a陽性神経前駆細胞からは多様なニューロンに分化する。第1菱脳節、第7菱脳節のptf1a陽性神経前駆細胞からは小脳ニューロンであるプルキンエ細胞と下オリーブ核ニューロンにそれぞれ分化することが知られている。しかしながら、ptf1a陽性細胞からどのような機構でこのような異なるタイプのニューロンに分化するのか、不明であった。

今回の論文では、ゼブラフィッシュを用い、ホメオボックス遺伝子であるgsx2が第7菱脳節にある下オリーブ核ニューロンの前駆細胞でptf1aと共発現していることを見出した。また、gsx2変異体を用いた解析結果から、下オリーブ核ニューロンが著しく減少していることが明らかとなり、gsx2が下オリーブ核ニューロンの分化に必要な遺伝子であることが分かった。さらに、gsx2はFgfやレチノイン酸シグナル発現の下流において複数の転写因子による発現制御を受けることにより、第7菱脳節に発現し、ptf1aと協調的に働くことで、下オリーブ核ニューロンの分化、運命決定を担っていることが示唆された。この研究から後脳領域においてptf1a陽性細胞から多様なニューロンが分化する機構の一端を明らかにすることができた。

図1:受精後5日目におけるgsx2変異体の表現型解析結果

    Pvalb7(マゼンタ):プルキンエ細胞、GFP(緑):下オリーブ核ニューロン
    IO neurons:下オリーブ核ニューロン PCs:プルキンエ細胞

図2:後脳における下オリーブ核ニューロン分化の分子機構


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