論文紹介
研究代表者 |
河内孝之 |
所 属 |
京都大学大学院生命科学研究科 |
著 者 |
Ishizaki, K., Chiyoda, S., Yamato, K. T., Kohchi T.
(石崎公庸、千代田将大、大和勝幸、河内孝之) |
論文題目 |
Agrobacterium-mediated transformation of the haploid liverwort Marchantia polymorpha L., an emerging model for plant biology
(半数体苔類ゼニゴケ(Marchatia polymorpha)のアグロバクテリアを介した形質転換:植物科学の新興モデル) |
発表誌 |
Plant Cell Physiol. 49: 1084-1091 (2008) |
要 旨 |
シロイヌナズナやイネではアグロバクテリアを介する形質転換法が汎用されているが、コケ植物やシダ植物では利用されていなかった。そこで高効率に苔類ゼニゴケの形質転換する系を開発した。胞子から発芽した幼葉状体に導入コンストラクトをもつアグロバクテリウムをアセトシリンゴン存在下で共存培養した後、薬剤選抜を行う。この単純な方法で、1胞子嚢から1,000近くの独立した形質転換が1週間で得られた。形質転換体では、T-DNA境界配列に挟まれた領域が1コピーから5コピー組み込まれ、導入したGUS遺伝子は安定的に発現されていた。ゼニゴケは世代の大半が半数体である。得られた形質転換体の解析に、単一細胞に由来する無性芽を用いることで、形質転換当代を遺伝的に均一な形質転換系統(純系)として解析できる。コケ植物が種子植物の共通の祖先であることや、ゼニゴケがもつ遺伝子重複が少ないことや高い分化全能性をもつといったモデル植物としてのユニークな特徴とあいまって、高効率で迅速な半数体植物形質転換系の開発は、ゼニゴケをモデルとする比較ゲノム解析を飛躍的に加速することが期待される。
図 アグロバクテリアを介するゼニゴケ形質転換
A. 形質転換実験風景。胞子を1週間無菌液体培養し、アグロバクテリアと共存培養する。その後、薬剤を含む寒天培地で選抜を行い、形質転換体を得る。
B. 形質転換体のGUS染色C. 導入遺伝子のPCR増幅による検出。
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研究室HP |
http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/plantmb/ |
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