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- 論文紹介【第2回論文紹介】
- Evolution and control of imprinted FWA genes in the genus Arabidopsis.
論文紹介
研究代表者 |
角谷徹仁 |
所 属 |
国立遺伝学研究所 |
著 者 |
Ryo Fujimoto, Yuki Kinoshita, Akira Kawabe, Tetsu Kinoshita, Kazuya Takashima, Magnus Nordborg, Mikhail Nasrallah, Kentaro Shimizu, Hiroshi Kudoh and Tetsuji Kakutani
(藤本龍、木下由紀、河邊昭、木下哲、高嶋和哉、清水健太郎、工藤洋、角谷徹仁) |
論文題目 |
Evolution and control of imprinted FWA genes in the genus Arabidopsis. |
発表誌 |
PLoS Genetics 4, e1000048. (2008) |
要 旨 |
哺乳類や高等植物は、父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子の二つの遺伝子を持っており、通常はこの両方が働き得ます。例外的に片側だけの遺伝子が働き、もう片方は眠ってしまうタイプの遺伝子があり、これらはインプリント遺伝子と総称されます。インプリント遺伝子は縦列型に重複した配列やトランスポゾンの配列を含むことが多いのですが、これらがインプリントされた発現に必要なのかどうかは多くの場合わかっていません。シロイヌナズナのFWAと呼ぶインプリント遺伝子のプロモーターではSINEと呼ばれるトランスポゾンの配列が重複しています。この配列をシロイヌナズナの同属近縁種で調べたところ、種ごとに異なった位置で重複がみられました(図1)。また、重複のない種でもインプリンティングが起こっていました(図2)。SINE由来の配列があれば、重複がなくても遺伝子抑制が可能なことがわかりました。重複は、インプリントの原因でなく、結果として起こっているのかもしれません。ただし、興味深いことに、重複のない種では栄養組織でFWAが発現する系統が見つかります。シロイヌナズナではFWA遺伝子の抑制が解除されると塩基配列に変化がなくても「エピジェネティック」に継承される開花遅延形質を示します。エピジェネティックなFWA発現の種内多様性が、可逆的な生殖戦略の変化に結びついている可能性も考えられます。
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図1 シロイヌナズナとその近縁種におけるFWAプロモーターの構造。
(A) SINE類似の配列を灰色で、縦列型重複を矢印で示した。(B) 縦列型重複の位置は種ごとに異なる。A.halleri (ハクサンハタザオ)は重複を持たない。
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図2 重複を持たないA.halleri のFWA遺伝子も種子でインプリントされた発現をする
(A) 用いたA.halleriにおけるFWA遺伝子の塩基配列多型。(B,C)発現産物の配列。母方由来のFWAだけが発現している。また、母親にヘテロ接合体を用いた場合でもFWAの転写産物は母親の片側のアレルのものだけである。つまり、発現産物は母親由来ではなく、減数分裂後のコピーからインプリンティングされた発現をしたことがわかる。 |
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研究室HP |
http://www.nig.ac.jp/labs/AgrGen/home-j.html |
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