論文紹介

研究代表者 矢崎一史 所 属 京都大学生存圏研究所
著 者 Yoshihisa Kamimoto, Masafumi Hamamoto, Nobukazu Shitan, Kazufumi Yazaki 
(紙本宜久、濱本正文、士反伸和、矢崎一史)
論文題目 Unusual expression of an Arabidopsis ATP-binding cassette transporter ABCC11 
(シロイヌナズナのATP結合カセットトランスポータABCC11の異常発現)
発表誌 Plant Biotech., 26, 261-265 (2009)
要 旨  植物のATP結合カセットトランスポータ遺伝子は1ゲノム上に120種以上存在するが、これらはその配列の特徴から8つのグループに分類される。それらの中でABCCのメンバーはシロイヌナズナに15種存在し、GS抱合体や有機アニオンの膜輸送を司っているとされる。これらのメンバーの中にはオーキシンの抱合体の膜輸送に関与するものがあると予想されているが、特に未解明の分子種ABCC11およびABCC12に関してその機能を調べる過程で、前者がフルサイズのmRNAとしては転写されずに、3-末端側のみの短い断片として転写されていることが見いだされた。この論文ではABCC11遺伝子のプロモータ活性や転写産物の特性について調べた。
図1
図1 シロイヌナズナのABCトランスポータ遺伝子の中に、15種のフルサイズABCトランスポータをコードするとされる遺伝子は15種類存在する。このサブファミリーは有機アニオンを基質として好むことが知られており、ABCC1, 2, 4, 5 などが既に報告されている。今回、未解明のABCC11およびABCC12を調べる過程で、前者はフルサイズのトランスポータとしては転写翻訳されておらず、3’-末端側のみ約450bpの断片として転写されていることが見いだされた。非翻訳のRNA分子として、他のABCCメンバーの発現調節に関与する可能性がある。
研究室HP http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/W/LPGE/