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- 論文紹介【第4回論文紹介】
- シロイヌナズナ AP2 型転写因子 WRINKLED1 は
脂肪酸合成系遺伝子の近上流域に保存された AW-box に結合する
論文紹介
研究代表者 |
中村研三 |
所 属 |
名古屋大学大学院生命農学研究科 |
著 者 |
Maeo, K., Tokuda, T., Ayame,
A., Mitsui, N., Kawai, T., Tsukagoshi, H., Ishiguro, S. and Nakamura,
K.
(前尾健一郎、徳田剛史、綾女敦子、三井尚子、河合都妙、塚越啓央、石黒澄衞、中村研三) |
論文題目 |
An AP2-type transcription factor,
WRINKLED1, of Arabidopsis thaliana binds to the AW-box
sequence conserved among proximal upstream regions of genes involved
in fatty acid synthesis.
(シロイヌナズナ AP2 型転写因子 WRINKLED1 は脂肪酸合成系遺伝子の近上流域に保存された AW-box に結合する) |
発表誌 |
Plant Journal・60・476-487・2009 |
要 旨 |
APETALA2 (AP2) DNA 結合ドメインを2つ持つAP2型転写因子にはメリステム機能や器官形成制御に関わるものが多く含まれているが、その結合配列や標的遺伝子はまだほとんど同定されていない。WRINKLED1
(WRI1) は種子形成過程でのトリアシルグリセロール (TAG) 蓄積に必要であることが示されているが、その直接の標的は不明であった。WRI1
の過剰発現体では、葉緑体での脂肪酸合成に関わる多くの遺伝子の発現量が上昇し、WRI1発現低下変異株ではこれら遺伝子の発現は減少していた。シロイヌナズナ培養細胞のプロトプラストを用いた一過性発現系で、WRI1
を共発現するとこれらの遺伝子プロモーターからの発現が活性化され、WRI1 組み換えタンパク質はこれら遺伝子の近上流域の配列に結合し、その領域には
AW-box と名付けた [CnTnG](n)7[CG]
という保存配列が存在した。Pl-PKβ1 の転写開始部位と 5'-非翻訳領域に存在する二カ所のAW-box
に変異を導入するとプロトプラストにおける WRI1 による活性化を受けなくなり、種子登熟過程における発現も見られなくなった。小胞体での脂肪酸からの
TAG 合成に関わる遺伝子の発現にも WRI1 は必要であることから、WRI1 は種子登熟過程において、脂肪酸合成に関わる遺伝子を直接活性化し、
TAG 合成に関わる遺伝子を調節することで、ソースから転流する糖の油脂合成への転換を促していると考えられる。
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図1AW-box とPl-PKβ1 プロモーターの発現における役割
(a) Pl-PKβ1 (-200/-1)の5'-非翻訳領域中の
site1 (m1)、転写開始部位の site2 (m2) AW-box への変異の導入。(b) m1、m2、m1m2
変異を含む Pl-PKβ1 (-200/-1):GUS
の発達中の種子における発現。(c) AW-box 配列と葉緑体での脂肪酸合成に関わる種々遺伝子の近上流域における
AW-box の転写開始点 (TSS) や ATG 開始コドンとの相対的な位置。多くの遺伝子は TATA-less
プロモーターである。赤字で示した遺伝子の AW-box への WRI1 の結合を確認している。
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研究室HP |
http://tabacum.agr.nagoya-u.ac.jp/
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