論文紹介

第10回論文紹介(2007.10更新)

グループ名
超分子機能学講座 生体膜機能
著者
小嶋勝、久保瑠美、薬師寿治、本間道夫、川岸郁朗
タイトル(英)
The bidirectional polar and unidirectional lateral flagellar motors of Vibrio alginolyticus are controlled by a single CheY species.
タイトル(日)
Vibrio alginolyticusのもつ双方向回転型である極べん毛モーターと一方向回転型である側べん毛モーターは単一のCheYにより制御される。
発表された専門誌
Molecular Microbiology. 64(1):57-67. 2007

細菌べん毛モーターはイオン駆動力を用いて回転する分子機械である。べん毛モーターの特徴の一つは、その回転方向又は速度を変化させることである。この変化は応答調節因子CheYによって制御され、走化性を達成している。今回、我々は側べん毛と極べん毛と呼ばれる2種類のべん毛システムをもっているV.alginnolyticusにおいて、単一のCheYが2種類のべん毛による走化性を制御していることを示した(図1)。さらに、その制御機構は大きく異なり、側べん毛は常に反時計回りに回転しCheYが作用することによって回転速度が低下するが、極べん毛は双方向に回転しCheYはその回転方向を制御していることを明らかにした(図2)。

図1:

野生型(138-2 , Pof+ Laf+ )、CheY欠失株及びその相補株の両べん毛による運動の走化性をスウォーム能(菌の広がり)で調べた。CheY欠失株では極べん毛、側べん毛共に走化性を示さなくなり、それらは単一のCheYによって相補される

図1:

(A)各べん毛の回転をテザードセルによって直接観察し、回転速度をグラフに示した。極べん毛(YM4, Pof+ Laf-)は回転方向が変化しているのに対して、側べん毛(YM19, Pof- Laf+)は時々速度が減少する(矢頭)だけで常に一方向にしか回転していない。(B)V. alginnolyticusにおけるモーター回転制御の模式図。

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