第14回論文紹介(2009.10更新)
- グループ名
- 超分子機能学講座 超分子構造
- 著者
- David Popp, 岩佐充貞, 前田佳代, 成田哲博、小田俊郎、前田雄一郎
- タイトル(英)
- Protofilament Formation of ParM Mutants.
- タイトル(日)
- ParM変異体のプロトフィラメント構造
- 発表された専門誌
- J.Mol.Biol. *388* 209-217. 2009
ParMはバクテリアのアクチンホモログで、プラスミドの分裂に関与している。私たちは、ParMはアクチンフィラメント様の二本のプロトフィラメントから成るらせん構造をとることを、Popp et al., 2008で示した。このとき提唱したモデルに基づいて、プロトフィラメント間の相互作用に重要と考えられる残基に変異を導入して、その影響を調べた。
E35K、D63K、双方の変異を導入したものは、フィラメントは作る(図A)ものの、はっきりしたらせん対称性を示さなかった。crowding agentを加えるとこの三つの変異体はどれもバンドル構造をとり(図B)、その層線パターンは野生型と同じらせん対称性を示した(図C)。しかし、その層線強度は野生型のパターンとかなり異なり、フィラメント構造が変化していることを示唆している。
一方、K258D、R262D、双方の変異を導入したものはいずれもフィラメント構造を作らなかった(図D)。crowding agentを入れるとバンドル構造を作る(図E)が、 その層線パターンはプロトフィラメントがアクチン様のらせん構造を作らず、まっすぐに配列していることを示していた(図F)。
以上のことから、E35, D63はプロトフィラメント間の相互作用に関与しており、K258, R262は相互作用に必須であることが示唆された。
図1:

今後の予定