第14回論文紹介(2009.10更新)
- グループ名
- 超分子機能学講座 超分子構造
- 著者
- David Popp, 岩佐充貞、成田哲博, Harold P. Erickson, 前田雄一郎
- タイトル(英)
- FtsZ Condensates: An In Vitro Electron Microscopy Study.
- タイトル(日)
- FtsZの凝集: 電子顕微鏡法による研究
- 発表された専門誌
- Biopolymers, 91(5):340-50, 2009
FtsZはバクテリアにおけるチューブリンホモログで、細胞分裂の際に収縮環様の構造を作る。また、間期においてらせん様構造をとることも報告されている。しかし、細胞内で現れる環状やらせん状構造が、FtsZ分子がどのように凝集することで構築されているのかは明らかになっていない。
細胞内は蛋白質等の高分子で非常に混み合った状態にある。メチルセルロースなどのcrowding agentはこの混み合った状態をミミックすると言われている。
本研究では、crowding agentと各種イオンがFtsZの凝集に与える影響を負染色電子顕微鏡法によって調べた。Crowding agent非存在下ではFtsZはそれぞれ独立した細いフィラメントを作る(図A)。しかし、crowding agent存在下では、この細いフィラメントが様々な凝集を作る。マグネシウム、カリウム存在下ではリング状構造(図B)、EDTAでマグネシウムをキレートすると、らせん状構造を作った(図C)。また、マグネシウム、ナトリウム存在下でもらせん状構造をつくった。これらのリング状構造、らせん状構造のサイズは細胞内で見られるものとほぼ一致し、実際の細胞内の構造も本研究で見られたものと同様である可能性がある。
また、別の実験として、ヘキサミンコバルトを用いてFtsZの今まで知られているものとは異なる二次元結晶を作ることできることも示した。
図1:

今後の予定