論文紹介

第14回論文紹介(2009.10更新)

グループ名
超分子機能学講座 生体膜機能
著者
檜作 洋平、John Frederick Morton、薬師 寿治、小嶋 誠司、本間 道夫
タイトル(英)
The peptidoglycan-binding (PGB) domain of the Escherichia coli Pal protein can also function as the PGB domain in E. coli flagellar motor protein MotB.
タイトル(日)
大腸菌Palタンパク質のペプチドグリカン結合(PGB)ドメインは大腸菌べん毛モータータンパク質MotBのPGBドメインとしても機能しうる
発表された専門誌
Journal of Biochemistry 146:219-29 (2009)

細菌べん毛モーターの回転力産生を担う固定子複合体において、MotBのC末端ペプチドグリカン結合(PGB)ドメインは固定子を回転子周辺につなぎとめる役割を果たす。今回我々は大腸菌MotB PGBドメインの系統的システイン変異導入実験と、機能の全く異なるペプチドグリカン結合リポタンパク質Palとのキメラタンパク質解析を行った。その結果、MotB-Pal融合タンパク質はmotB変異を相補できなかったが、Pal部分の変異F172V、あるいはMotB部分の変異P159Lにより、弱いながらもMotBとして機能することを見いだした。これらの結果は、PGBドメインがMotBのPGBドメインと交換可能であることを示している。

図1:

MotB-Palキメラタンパク質と運動能回復変異部位。
(a)大腸菌のペプチドグリカン結合タンパク質Palと、MotB-Pal融合キメラタンパク質の1次構造。本研究では、Palのペプチドグリカン結合ドメイン(52-152)を、べん毛モーター固定子タンパク質MotBの推定ペプチドグリカン結合モチーフを含むペリプラズム領域(161-308)と入れ替えたキメラタンパク質を作成した。このMotB-Palキメラタンパク質は固定子として機能することはできないが、P159L(MotB領域)またはF172V(Pal領域)変異が入るとわずかながら固定子機能を回復することができる。
(b)MotB-Palにおける運動能回復変異部位。変異部位(P159およびF172)はMotBとPalの融合ジャンクション近傍に存在し、大腸菌Palの結晶構造(1oap)上にマップすることが出来る。キメラタンパク質のMotB側(膜貫通部分を含む)の結晶構造は解かれていない。

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