第14回論文紹介(2009.10更新)
- グループ名
- 生物化学
- 著者
- 河野 慎,山野 晃史,直江 真里,百瀬 隆喜,寺尾 佳代子,西川 周一,渡邉 信久,遠藤 斗志也
- タイトル(英)
- Structural basis of yeast Tim40 as an oxidative translocator in the mitochondrial intermembrane space.
- タイトル(日)
- 酵母ミトコンドリア膜間部の酸化的トランスロケータTim40の構造的基盤
- 発表された専門誌
- Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106,14403-14407(2009)
ミトコンドリア内でタンパク質にジスルフィド結合を導入するレドックストランスロケータTim40(Mia40)の機能構造を原子レベルで解明
当研究室では,ミトコンドリア内でタンパク質にジスルフィド結合を導入するタンパク質Tim40(Mia40)の結晶構造を,マルトース結合タンパク質(MBP)との融合タンパク質の形で決定し,Tim40が基質タンパク質内にジスルフィド結合を形成させる仕組みの手がかりを得ることに成功しました。研究員の河野慎,山野晃史らによる研究成果です。
最近細胞内では,分泌経路の入り口である小胞体内部だけでなく,ミトコンドリア内の膜間部でもタンパク質内にジスルフィド結合が導入されることが分かってきました。Tim40はこのミトコンドリア内でのジスルフィド結合導入を担うタンパク質で,導入に必須のTim40内のジスルフィド結合の位置,基質が結合する疎水的な窪みの存在などが明らかになりました。さらにこの基質結合部位はTim40に酸化力を提供するパートナータンパク質Erv1との相互作用にも重要であることが分かりました。これらの結果はミトコンドリアにおけるタンパク質のジスルフィド結合形成を担うTim40の機能解明の本質に迫るものであり,細胞内のエネルギー生産工場であり,老化などとも密接な関係をもつミトコンドリアの形成の仕組みの解明につながるものです。
図1:

今後の予定