第14回論文紹介(2009.10更新)
- グループ名
- 生物化学
- 著者
- 田村 康,原田 佳宗,塩田 拓也,山野 晃史,渡辺 一章,横田 美穂子,山本 林,瀬崎 博美,遠藤 斗志也
- タイトル(英)
- Tim23-Tim50 pair coordinates functions of translocators and motor proteins in mitochondrial protein import.
- タイトル(日)
- Tim23-Tim50ペアはミトコンドリアタンパク質膜透過におけるトランスロケータとモータタンパク質の機能的協調を担う
- 発表された専門誌
- J. Cell Biol. 184, 129-141 (2009)
インテリジェントな分子機械,TIM23トランスロケータ(膜透過装置)の働く仕組みを,構成する部品の相互作用のレベルで解明
当研究室では,タンパク質のミトコンドリア内膜を担う膜透過装置,TIM23複合体の働く仕組みを,TIM23複合体を構成するTim23とTim50という二つの部品の膜間部における相互作用の役割,という観点から明らかにしました。大学院生(現ジョンズホプキンス大学医学部博士研究員)の田村康,大学院生の原田佳宗,塩田拓也らによる研究成果です。ミトコンドリアは生命活動に必須のエネルギー産生などを担う細胞内小器官です。
ミトコンドリアを構成するタンパク質は,ミトコンドリアの外で合成されてから,ミトコンドリアを取り囲む外膜と内膜を通過して内部に入り,そこではじめて働くことができます。TIM23複合体はこうしたミトコンドリアタンパク質の内膜通過を担う分子機械です。今回,TIM23複合体を構成する部品であるTim23とTim50は,膜間部で結合することにより,外膜から内膜へのタンパク質の受け渡しの効率を上げると共に,内膜通過に必要なマトリクスのモータタンパク質群の活性化のスイッチを入れることができることを見いだしました。このことは内膜の膜透過装置TIM23複合体がその部品の相互作用を通じて,外膜と内膜,内膜の膜間部側とマトリクス側で起こる様々なイベントを調整し,タンパク質の効率よい膜透過を実現していることを明らかにするものです。
図1:

今後の予定