第19回論文紹介(2012.6更新)
- グループ名
- 構造生物学研究センター
- 著者
- Narita, A
- タイトル(英)
- Merits of the double-stranded form of the actin filament revealed by structures of the filament ends.
- タイトル(日)
- アクチンフィラメント端構造から明らかになった、アクチンフィラメント二重らせん構造のメリット
- 発表された専門誌
- Communicative and Integrative biology, 692-695., 2011
アクチンは二本のストランドからなるフィラメント構造を作る。アクチンフィラメントについては多くの研究がなされているが、そもそもなぜアクチンフィラメントが二本のストランドから成る二重らせん構造をとるかについてはあまり議論がされていない。私たちは電子顕微鏡写真からアクチンフィラメントの端の三次元構造解析を行うアルゴリズムを開発した(Narita et al., 2007, J.Mol.Biol.)。そこから得られた二つの三次元構造(Narita et al., 2006, 2011, EMBO.J)から、アクチンフィラメントが自らの動態を制御するために以下の三つの意味で巧みに二重らせん構造を利用していることが明らかになった。(1):フィラメント端結合蛋白質が、フィラメント端を効率的に認識するために二重らせん構造が必要。(2): ストランドが二本あることによって、初めてフィラメント端結合蛋白質がフィラメント全体の安定性の制御を行うことができる。(3): 二重らせん構造と一本のスイッチループの組み合わせにより、フィラメント両端の重合、脱重合速度に大きな差をつけることができる。これらはいずれもアクチンフィラメント動態に大きな影響を与えるものであり、アクチンフィラメントにとって二重らせん構造が本質的に重要であることを示している。
図1:
図2:

今後の予定