第19回論文紹介(2012.6更新)
- グループ名
- 構造生物学研究センター
- 著者
- Narita, A., Mueller, J., Urban, E., Vinzenz, M., Small, J. V. & Maeda, Y.
- タイトル(英)
- Direct Determination of Actin Polarity in the Cell.
- タイトル(日)
- 細胞内アクチンフィラメント極性の直接決定
- 発表された専門誌
- Journal of Molecular Biology 22 359-368 2012
アクチンフィラメントは細胞内で様々な役割を果たす。アクチンフィラメントには明確な極性があり、一方の端をB端、他方の端をP端と呼ぶ。細胞内では常にB端で重合、P端で脱重合が起こると考えられており、ミオシンもその多くはB端に向かって動くため、細胞内のアクチンフィラメント極性、すなわちフィラメントのどちらの端がB端でどちらの端がP端であるのかを決定することは、細胞内のアクチンフィラメント網のダイナミクスの方向性を決定することと同義である。いままで、細胞内のアクチンフィラメント極性は細胞内に高濃度のミオシンを導入し、ミオシン頭部がアクチンフィラメントと結合するときにできるやじり様構造によって決定されてきたが、このやじり様構造はアクチンフィラメントよりもはるかに太く、その形成はアクチンフィラメント網を大きく乱してしまう。私たちは細胞を負染色し、その電子線トモグラムを撮影することで細胞内のアクチンフィラメント網の三次元構造を取得、それを解析することで、ミオシンに依らず、アクチンフィラメントの形だけからフィラメント極性を決定することに成功した。
図1:

今後の予定