第19回論文紹介(2012.6更新)
- グループ名
- 超分子機能学講座 超分子構造学
- 著者
- 潘東青、松浦 能行
- タイトル(英)
- Structures of the pleckstrin homology domain of Saccharomyces cerevisiae Avo1 and its human orthologue Sin1, an essential subunit of TOR complex 2
- タイトル(日)
- Saccharomyces cerevisiaeのTORC2構成タンパク質Avo1とそのヒトオルソログSin1のPHドメインの結晶構造
- 発表された専門誌
- Acta Cryst. (2012). F68, 386–392
真核生物ではTOR(target of rapamycin)を中心とする2種類の大きなタンパク質複合体が細胞の成長、代謝、そして老化を制御している。2つの複合体のうち、TOR複合体1(TORC1)はタンパク質の合成や分解を制御する一方で、TOR複合体2(TORC2)はアクチン細胞骨格の編成や細胞の極性を制御している。それぞれの複合体の細胞内局在には違いがあり、S. cerevisiaeのTORC2の細胞膜局在にAvo1のC末領域が関わっていることが示されている。
私たちはAvo1とそのヒトホモログのSin1のC末領域の結晶構造を決定し、両タンパク質のC末領域がともにPHドメインの構造をしていることを明らかにした。Avo1のC末領域は結晶内ではドメンスワップしたダイマーになっているのに対し、Sin1のC末領域はモノマーであった。他のPHドメインの結晶構造と比較することで、細胞膜表面のリン酸化イノシトールに結合する部位が示唆された。
図1:
Avo1, Sin1,そしてPKBのPHドメインの構造
それぞれのPHドメインの構造はリボンモデルと分子表面モデルで表示している。分子表面モデルの色は、青が正の静電ポテンシャル、赤が負の静電ポテンシャルを示している。赤色点線の円はリン酸化イノシトールが結合すると思われる領域を示している。

今後の予定