第19回論文紹介(2012.6更新)
- グループ名
- 生物化学グループ
- 著者
- 塩田 拓也、間渕 英、田中-山本 紗千子、山野 晃史、遠藤 斗志也
- タイトル(英)
- In vivo protein-interaction mapping of a mitochondrial translocator protein Tom22 at work
- タイトル(日)
- 作動中のミトコンドリアトランスロケータタンパク質Tom20のin vivoタンパク質相互作用マッピング
- 発表された専門誌
- Proc. Natl. Acad. Sci. USA 108, 15179-15183 (2011)
ミトコンドリアは生命活動に必須の細胞内小器官です。ミトコンドリアタンパク質の多くは,プレ配列が付加された前駆体として合成 され,ミトコンドリア外膜のTOM40複合体,内膜のTIM23複合体という膜透過装置の働きで外膜と内膜を通過して内部に移行します。 TOM40複合体のサブユニットTom22は,外膜表面でプレ配列中のミトコンドリア行きシグナルを認識,外膜中でTOM40複合体のチャネル構造を安定 化し,外膜の膜間部側でプレ配列を再度認識するとともに,内膜のTIM23複合体に効率よく前駆体を受け渡します。今回in vivo部位特異的光架橋法を用いて,Tom22がこのような多様な機能を実現するために,TOM40複合体やTIM23複合体の他のサブユニットと相互作用を 変化させていく様子を,高い空間分解能でマッピングすることに成功し,膜透過装置が作動する仕組みを明らかにしました。
これまで,細胞内の膜タンパク質複合体がそのサブユニット間相互作用を変化させながら働く様子を,高い空間分解能で捉えることは困難でした。本研究で用いたin vivo部位特異的光架橋法は,アミノ酸残基レベルの空間分解能で膜タンパク質の相互作用のスナップショットを撮ることができ,さらに架橋の条件を変える ことで,膜タンパク質が実際に機能するときのタンパク質間相互作用の変化をモニターできる強力な手法と言えます。
図1:
in vivo部位特異的光架橋反応の原理
図2:
膜透過装置TOM40複合体のサブユニットTom22の機能

今後の予定