論文紹介

第19回論文紹介(2012.6更新)

グループ名
生物化学
著者
井澤 俊明,永井 宏柾,遠藤 斗志也,西川 周一
タイトル(英)
Yos9p and Hrd1p mediate ER retention of misfolded proteins for ER-associated degradation
タイトル(日)
Yos9とHrd1はフォールディング異常タンパク質をER関連分解のためにERに留める
発表された専門誌
Mol. Biol. Cell 23, 1283-1293 (2012)

細胞内で合成されるタンパク質は,いつも機能できる構造を獲得できるとは限りません。そこで細胞,特にER(小胞体)には合成されるタンパク質の異常を監視する「品質管理システム」があり,異常タンパク質は発見され次第ERに留め置かれ(残留),修復されるか,分解・除去されます。分解の判断が下されると,ERで発見された異常タンパク質はサイトゾルに送り出され,プロテアソームで分解されます(ERAD)。しかし,正常か異常かはどうやって区別するのか,どうやって特定の(異常)タンパク質だけを効率良く残留・除去するのかなど,多くの未解決の問題があります。今回,正常な液胞タンパク質CPY(カルボキシペプチダーゼY)とその異常変異体CPY*を直列に繋いだ4種の融合タンパク質,CPY-CPY,CPY-CPY*,CPY*-CPY,CPY*-CPY*をつくり,従来困難だったERADとその前段階としてのER残留のステップを区別することに成功し,異常タンパク質のER残留量を定量的に解析しました。そしてER残留にはYos9とHrd1が必要であること,ERADに必要な異常タンパク質の目印としての糖鎖シグナルは不要であることを見いだしました。これまでほとんどわかっていなかった異常タンパク質をERに留めおく仕組みを明らかにすることにより,細胞内の危機管理プログラムがどのように働くのかについて,理解を深める成果です。

図1:

ER残留にはYos9とHrd1の連携が必要

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