第19回論文紹介(2012.6更新)
- グループ名
- 遺伝子解析学
- 著者
- 一瀬 瑞穂、田崎 瑛示、杉田 千恵子、杉田 護
- タイトル(英)
- A PPR-DYW protein is required for splicing of a group II intron of cox1 pre-mRNA in Physcomitrella patens.
- タイトル(日)
- ミトコンドリアのスプライシングに働くPPR-DYWタンパク質
- 発表された専門誌
- The Plant Journal 70, 271-278 (2012).
ミトコンドリアの遺伝子発現制御にpentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質がその中心的な役割を担っていることが知られています。私たちはこれまで解析した6種のPPR-DYWタンパク質がすべてミトコンドリアのRNA編集因子であることを明らかにしました。今回、新規のPPR-DYWタンパク質であるPPR43の遺伝子破壊株を作製し、ミトコンドリアのRNA編集に着目して解析を行いました。その結果、PPR43は予想に反してRNA編集には関与しないことが分かりました。そこで、遺伝子破壊株のミトコンドリアmRNAの蓄積レベルを調べたところ、呼吸鎖複合体IVのサブユニットをコードするcox1 mRNAの蓄積レベルが著しく減少していること、およびcox1 pre-mRNAの第3イントロンのスプライシングが起こっていないことを突き止めました(図1)。レスキュー実験を行って、PPR43がcox1 pre-mRNAの第3イントロンのスプライシングに関与することを明らかにしました。またスプライシングにはPPR43タンパク質のC末端のE/DYWドメインは必須でないこともわかりました(図1)。今後は、PPR43がスプライシング反応にどう関わっているかを詳細に明らかにしていく予定です。
図1:

今後の予定