論文紹介

第22回論文紹介(2014.1更新)

グループ名
生体調節論 生体応答論
著者
森岡翔、Peter Broglie, 大森英美理、池田裕香、高江洲義一、松本邦弘、辻順
タイトル(英)
TAK1 kinase switches cell fate from apoptosis to necrosis following TNFα stimulation
タイトル(日)
TAK1キナーゼはTNFα刺激に応答して、細胞運命をアポトーシスからネクローシスへと切り替える
発表された専門誌
Journal of Cell Biology, in press (2014)

TNFαは、感染に際し、細胞死の誘導や炎症を促進するサイトカインとして知られている。TNFαはカスパーゼを活性化することでアポトーシスを誘導する経路を備えている。MAP3KであるTAK1はTNFαにより活性化し、下流転写因子であるNFκBを活性化することで、カスパーゼを抑制しつつ、サイトカインを生産する。一方で、バクテリア由来のタンパク質により、TAK1経路が阻害された細胞は、TNFα によりカスパーゼが活性化し、アポトースを起こすことで生体内から排除される。さらに、ある種のバクテリアはカスパーゼを抑制することで、アポトーシスを回避することが知られている。最近の研究結果から、阻害剤によってカスパーゼを阻害すると、TNFαによってプログラムネクローシス (ネクロプトーシス)が誘導されることが明らかとなった。ネクロプトーシスにおいては、キナーゼであるRIPK1とRIPK3が複合体を作り、リン酸化を受けて活性化することで細胞死を誘導するが、その制御機構については未だ未知の部分が多い。本研究では、細胞をTNFαとカスパーゼ阻害剤で処理するとTAK1の過剰活性化が起こること、TAK1はRIPK1依存的にRIPK3と複合体を形成すること、過剰活性化したTAK1はRIPK3をリン酸化、活性化し、ネクロプトーシスを誘導することを明らかにした。TAK1はアポトーシスとネクロプトーシスの制御に関わる重要なキナーゼである(図1)。

図1:

TNFαはTAK1とcaspaseの二つの経路を活性化する。TAK1はcaspaseの活性を抑制し、caspaseはTAK1の過剰活性化を防ぎ、二つの経路がバランスを保つことで細胞は生存を維持している。TAK1が機能しなくなった細胞においては、TNFαはcaspase経路を活性化し、細胞をアポトーシスへと誘導する。反対に、バクテリア由来のタンパク質であるCrmAや、阻害剤であるZ-VADによってcaspaseが阻害されてしまった細胞においては、TAK1が過剰活性化し、RIPK1/RIPK3依存的なネクローシスを引き起こす。TAK1の活性化の度合いにより、細胞は生存、アポトーシス、ネクローシスへとその運命を変化させる。

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