論文紹介

第22回論文紹介(2014.1更新)

グループ名
構造生物学研究センター
著者
Miyanoiri,Y., Takeda, M., Okuma, K., Ono, AM., Terauchi, T., Kainosho, M.
タイトル(英)
Differential isotope-labeling for Leu and Val residues in a protein by
E.coli cellular expression using stereo-specifically methyl labeled amino acids
タイトル(日)
大腸菌生合成系を利用したバリン/ロイシン メチル基の新規安定同位体標識法の開発
発表された専門誌
J. Biomol. NMR, 57, 237-249 (2013).

分子量50 kDaを超える高分子量蛋白質の溶液NMR研究においては、蛋白質中のメチル基のみを観測対象としたmethyl TROSY法が広く利用されている。methyl TROSY法では、各アミノ酸残基のメチル基を安定同位体標識した試料を調製する事が必要となる。現在、蛋白質中のバリン(Val)及びロイシン(Leu)残基のメチル基を安定同位体標識するには、アミノ酸前駆体を利用する方法が主流である。しかしこの場合、Valγ1, 2、Leuδ1, 2メチルが同時に標識されてしまい(標識率は50%)、観測されるNMRシグナル数が膨大になり、シグナルの帰属や立体構造解析が極めて困難となる。
 我々は、このような問題を解決するため、立体特異的にメチル基に安定同位体標識したValとLeuを用い(図1)、汎用な大腸菌発現系を利用したアミノ酸特異的標識技術を確立した。これにより、分子量82kDaのMSG蛋白質について、Valγ1, 2、Leuδ1, 2のメチル基のみを選択的、且つ高効率に標識することに成功し(標識率90%以上)、シグナル感度の向上、シグナル数の大幅な減少、確実な立体帰属が一挙に実現した(図2)。本手法では、立体選択的にメチル標識したValとLeuのあらゆる組み合わせで標識した蛋白質の調製にも成功しており、簡便且つ精密に高分子量蛋白質の立体構造を解析する方法を確立した。

図1:立体選択的にメチル基を安定同位体標識した新規Val/Leu残基の構造

methyl TROSYスペクトルで観測されるメチル基を赤色で示した。
(a) γ1メチルのみが観測可能なVal残基(γ1-Val)。以下同様に、(b) γ2-Val、(c) δ1-Leu、(d) δ2-Leu

図2:MSG蛋白質のmethyl TROSYスペクトル

(a) アミノ酸前駆体を利用して調製したMSGのmethyl TROSYスペクトル。Valのγ1,2、Leuのδ1,2メチル基が同時に観測されており、シグナル同士の縮重が多く見られている。
(b) γ2-Valを利用した新規標識法により調製したMSGのmethyl TROSYスペクトル。Valのγ2メチルのみが特異的に観測されており、シグナル同士の縮重が大幅に減少している。

カレンダー

今後の予定


pagetop