論文紹介

第22回論文紹介(2014.1更新)

グループ名
構造生物学研究センター
著者
Ihara,M., Hamamoto, S., Miyanoiri,Y., Takeda, M., Kainosho, M., Yabe, I., Uozumi, N., Yamashita, A.
タイトル(英)
Molecular bases of multimodal regulation of a fungal transient receptor potential (TRP) channel
タイトル(日)
TRPチャネル蛋白質の刺激応答機構の解明
発表された専門誌
J. Biol. Chem, 218(21), 15303-15317 (2013).

Transient receptor potential (TRP) チャネルは、一つの受容体で、温度や浸透圧変化、痛み、味覚、嗅覚といった多様な刺激に応答する事が知られている。このような、複数の刺激に対して、柔軟に応答する仕組みを解明するため、カビの一種であるG.zeaeのTRPチャネルのプロトタイプであるTRPGzを単離同定し、機能解析および立体構造解析を行った。
 TRPGzは膜貫通領域と細胞内領域を有しているが、細胞内領域には浸透圧や温度上昇の刺激に応答してチャネルを開く「浸透圧・温度上昇応答モジュール」や、ホスファチジルイノシトールリン酸(PIPx)に結合する事でチャネルを閉じる「PIPx結合応答抑制モジュール」が存在する事が明らかとなった。この細胞内領域についてX線結晶解析およびNMR解析を行ったところ、浸透圧・温度上昇応答モジュールは、4量体を形成し、へリックスバンドル構造を呈していた(図1 a,b)。しかし、このへリックスバンドルは強固に結合しているわけではなく、複数の構造間を揺らいだ状態で存在する事が明らかになった(図1 c)。また、PIPx結合応答抑制モジュールは、運動性の高いランダムコイル状態にあることが分かった。これらの結果から、TRPGzは細胞内領域を介して離合集散を引き起こすことで、多様な刺激に対して柔軟に応答していることが明らかとなった。

図1:TRPGzの浸透圧・温度上昇応答モジュールの立体構造

TRPGzの浸透圧・温度上昇応答モジュールは、へリックスバンドル構造を呈しており(a)、4本のαへリックスが、メチオニン残基やロイシン残基等を介した疎水性結合によって束ねられている(b)。NMRスペクトルの解析を行ったところ、へリックスバンドルの形成に関与するメチオニン残基(M607,M613)のメチルシグナルが特異的に広幅化しており、複数の構造間を揺らいだ状態で存在していることが分かった。

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