論文紹介

第22回論文紹介(2014.1更新)

グループ名
超分子機能学講座 生体膜機能グループ
著者
寺島浩行、寺内尭史、井原邦夫、西岡典子、小嶋誠司、本間道夫
タイトル(英)

Mutation in the a-subunit of F1FO-ATPase causes an increased motility phenotype through the sodium-driven flagella of Vibrio

タイトル(日)

F1FO-ATPaseのa-サブユニットの変異がビブリオ菌のべん毛による運動能を上昇させる

発表された専門誌

The Journal of Biochemistry, 154(2): 177-184 (2013)

細菌べん毛は、共役イオンの電気化学的ポテンシャル差を利用してスクリューのように回転する。回転力を作り出す固定子複合体中を共役イオンが透過し、それと共役した回転子との相互作用によって機械的回転力が生み出されている。ビブリオ菌の固定子はPomAとPomBから形成され、共役イオンであるNa+はPomB D24を介して細胞内に流入する。我々は以前に、この残基の負電荷を中和し、代わりにPomA N194をDに置換した変異体がわずかながらべん毛を回転させることができることを見出した。そして本研究では、この変異体の運動能上昇変異体を取得し、次世代シーケンサーでその変異箇所を決定した。その結果、F1FO-ATPaseのa-サブユニットをコードするuncBという遺伝子に変異が落ちていた。F1FO-ATPaseの欠損によって起きる運動能への影響を調べるために、uncB欠失変異体を作成し、その特徴を解析した。uncB欠失変異体は、野生型に比べ細胞内ATP濃度が減少し、生育速度が低下していることから、F1FO-ATPaseの欠損によってATPの欠乏による生育阻害が起きていた。低Na+濃度での遊泳速度を測定したところ、野生型に比べ上昇していた。この表現型はKCNで呼吸鎖を阻害すると抑圧された。この結果から、uncB欠失変異体では、呼吸鎖によって作られたプロトン濃度勾配がF1FO-ATPase の欠損によって消費されず蓄積し、結果的にナトリウム駆動力が上昇し、運動能が上昇したことを示唆している。

図1:

(A) 運動能上昇変異体とuncB欠失変異体の軟寒天培地上での運動能。
(C) 生育速度。●:NMB191(親株)、○: uncB欠失変異体、■:運動能上昇変異体

図2:

(A) 運動能上昇変異体とuncB欠失変異体の遊泳速度。●:NMB191(親株)、○: uncB欠失変異体、■:運動能上昇変異体。
(B) 様々な呼吸鎖阻害剤を含む20mM NaCl存在下での遊泳速度。CCCPはプロトン脱共役剤、DCCD、NaN3はF1FO-ATPaseの阻害剤、KCNはcytochrome oxidaseの阻害剤。CCCP: carbonylcyanide-mchlorophenylhydrazone、DCCD: N,N’-Dicyclohexylcarbodiimide、NaN3: sodium azide、KCN: potassium cyanide.

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