論文紹介

第24回論文紹介(2014.10更新)

グループ名
遺伝子解析学グループ
著者

杉田千恵子、香村吉洋、田中惟睦、米谷一樹、佐藤浩之、杉田 護

タイトル(英)
Molecular characterization of three PRORP proteins in the moss Physcomitrella patens: nuclear PRORP protein is not essential for moss viability
タイトル(日)
ヒメツリガネゴケのPRORPタンパク質の機能解析:核局在PRORPはコケ植物の生存には必須ではない
発表された専門誌
PLoS ONE 9 (10), e108962 (2014)10.1371/journal.pone.0108962

RNase Pはpre-tRNAの5’リーダー配列を切断する酵素ですべての生物に存在します。細菌、アーキア、真核細胞核のRNase Pは触媒活性をもつRNA成分と1〜数個のタンパク質成分から構成されています。これに対して、ヒトのミトコンドリアや植物のミトコンドリアと葉緑体のRNase Pはタンパク質成分のみであることが最近の研究で明らかになりました。植物の酵素はproteinaceous RNase P (PRORP)と呼ばれています。興味深いことに、藻類はRNA成分をもつRNase PとPRORPの両方を持ちますが、種子植物はPRORPしか持たないようです。最初の陸上植物であるコケ植物はどうでしょうか? 本論文で、私たちはヒメツリガネゴケのpentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質であるPpPPR_63, 67, 104がRNase P活性をもつPRORPであることを見出しました(図1)。PpPPR_63は核に局在し、PpPPR_67と104は葉緑体とミトコンドリアの両方に局在します。PpPPR_63遺伝子をノックアウトしたコケ植物は、予想に反して、生育可能で細胞質tRNAの蓄積レベルも野生株のものと大差がないことが分かりました。もしかすると、コケ植物の核内にはPRORP以外にRNase P活性を持つ酵素が存在するのかも知れません(図2)。

図1:

ヒメツリガネゴケの3種のPPRタンパク質 PpPPR_63, 67, 104はRNase P活性をもつPRORP である。(A) RNase Pはpre-tRNAのリーダー配列を切断する。(B)組換えPpPPR_63 (r67), PpPPR_104 (r104), PpPPR_63 (r63)タンパク質の模式図。2個のPPRモチーフと1個のNYNメタロヌクレアーゼ ドメインをもつ。 (C)組換えPPRタンパク質を葉緑体、ミトコンドリア、核内のpre-tRNAとインキュ ベートした。3種の組換えタンパク質ともRNase P活性を示した。

図2:

ヒメツリガネゴケの2種のPRORPタンパク質(PpPPR_67と104)は葉緑体とミトコンドリアの 両方に局在し、1種のPRORPタンパク質(PpPPR_63)は核に局在する。本研究の結果、核内には PRORPタンパク質以外にRNase P活性をもつ酵素(RNase P?)が存在する可能性が示唆された。

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