論文紹介

第24回論文紹介(2014.10更新)

グループ名
超分子機能学講座 生体膜機能グループ
著者

朱世偉、高尾真登、李娜、佐久間麻由子、西野優紀、本間道夫、小嶋誠司、今田勝巳

タイトル(英)

Conformational change in the periplamic region of the flagellar stator coupled with the assembly around the rotor.

タイトル(日)

回転子周囲への集合と連動した、べん毛モーター固定子のペリプラズム領域の構造変化

発表された専門誌

Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. (2014) 111(37), 13523-13528.

細菌べん毛モーターは固定子と回転子からなり、固定子チャネル内を共役イオンが透過する際に起こる、固定子-回転子間相互作用によって回転トルクが発生する。モーターがスムーズに回転するには、固定子が回転子周囲のペプチドグリカン(PG)層に適切に配置・固定されなければならない。海洋性ビブリオ菌のNa+駆動型モーター固定子はPomAとPomBにより構成され、PomBのC末端側ペリプラズム領域において、PG層とTリングに結合し固定されると考えられている。今回我々は、PomBのC末端側断片(PomBC)の結晶構造を2.0Åの解像度で決定した。PomBCの構造はコンパクトであったため、固定子が固定される際にN末端側における構造変化が予測された。そこでこの領域にシステイン二重変異を導入し、生体内でジスルフィド結合を形成させ、運動能への影響を解析した。すると運動能は還元剤によって可逆的に制御された。様々な位置における架橋実験の結果から、PomBCのN末端側の構造を持たない領域(121-153)、および直後のヘリックスa1のN末端側3分の2領域(154-164)が構造を変化し、機能的な固定子を回転子の周囲に形成することが示唆された。ジスルフィド架橋は固定子の局在やイオン透過能に影響しないことから、この構造変化は固定子の回転子周囲への集合過程における最終段階に起きることが示唆された。

図1:PomBCの分子構造

(A) 解析したPomBCの構造。2つのPomBC分子が二量体を形成する。赤で囲った領域は細胞壁に結合する部分、黒い矢印は構造変化が予想される領域。N, CはそれぞれN(アミノ)末端とC(カルボキシ)末端を示す。
(B) 赤矢印で示した部分の間を架橋でつなぎ、構造変化を妨げる実験を行った。
(C) 架橋したアミノ酸のペア。青い線で示した残基を架橋してもモーターは機能するが、赤い線で示した残基を架橋するとモーターは機能しなくなる。オレンジの線で示した残基同士は一部に架橋がかかり、一部のモーター機能が失われた。点線の残基同士は架橋がかからず、モーターは機能した。従って、黒矢印で示したヘリックスのアミノ末端側から2/3の領域を架橋により固定すると、モーター機能は失われる。

図2:モーターへの組み込みに伴う固定子の構造変化モデル

(A) 構造変化の模式図。(B) 構造変化のイラスト図。固定子がモーターに組み込まれると、PomBC部分が立ち上がるような構造変化を起こし、細胞壁に結合する。モーターから外れているときは、しゃがんだような構造になり、細胞壁に届かないため、細胞壁に結合せずに細胞膜上を自由に移動する。

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