論文紹介

第24回論文紹介(2014.10更新)

グループ名
細胞間シグナル研究グループ
著者

田畑亮,住田久美子,吉井智明,大山健太郎,篠原秀文,松林嘉克

タイトル(英)

Perception of root-derived peptides by shoot LRR-RKs mediates systemic N-demand signaling

タイトル(日)

根由来ペプチドの地上部LRR受容体キナーゼによる受容が全身的な窒素要求シグナリングを調節している

発表された専門誌

Science 346, 343-346 (2014)

植物が根から吸収する無機養分のうち最も大切な元素のひとつは窒素である.根は地中から窒素を主に硝酸イオンとして吸収し,成長に必要なタンパク質などをつくりだしている.しかし,自然界の土壌中の硝酸イオンの分布は,植物自身による取り込みや雨水による流出などのために極めて不均一であることから,個体全体としての硝酸イオン取り込み量を一定に保つには,個々の根がおかれた環境に応じて取り込み効率を変化させる必要がある.本研究では,根の一部が窒素飢餓を感知すると15アミノ酸からなるペプチドシグナルであるCEPを生産し,それらが道管中を移行して地上部でLRR型受容体であるCEPRに受容されることを介して,植物体全体に窒素飢餓を知らせていることを発見した.このペプチドシグナリングが引き金となって他の根での硝酸イオン取り込み量が増大し,局所的な窒素の不足分が全体として補なわれている.逆にこのシステムを失った植物では,硝酸イオン取り込み能力が低下し,葉が黄色くなって植物体も小さくなった.この発見は,変動する窒素環境に対する植物の巧みな適応能力の一端を明らかにするものである.

図1:分泌型ペプチドを介した全身的窒素要求シグナリング

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