論文紹介

第31回論文紹介(2018.6更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

近藤 翔太、本間 道夫、小嶋 誠司

タイトル(英)
Analysis of the GTPase motif of FlhF in the control of the number and location of polar flagella in Vibrio alginolyticus
タイトル(日)
海洋性ビブリオ菌極べん毛の本数と位置を制御するFlhFのGTPaseモチーフの解析
発表された専門誌
Biophysics and Physicobiology (2017) 14, 173-181.

海洋性ビブリオ菌Vibrio alginolyticusは極に1本のべん毛を持ち、その本数と位置はFlhFによって正に制御される。FlhFはGTPaseで、シグナル認識粒子(SRP)のFfhおよびSRP受容体のFtsYに相同性を示す。FlhFは細胞の極に局在し、べん毛の形成を促進する。FlhFがどのようにして極に局在するのかを明らかにするために、我々はヒドロキシルアミンを用いてプラスミド上のflhF遺伝子にランダムに変異を導入し、ビブリオ菌で発現させ、極にべん毛を形成できない変異体を複数単離した。今回得られた新規の変異(T436M, E440K)は、FlhFのGTPaseモチーフに存在した。これらの変異を持つFlhFタンパク質は野生型に比べて極局在能が低下していたが、細胞膜への結合は野生型と変わらず維持されていた。ビブリオ菌極べん毛の形成にはFlhFの極局在が重要であるが、本研究の結果はFlhFのGTPaseモチーフがその極局在において必須の役割を担うというモデルを支持している。

図1:FlhFの極局在能はGTPaseモチーフの変異により低下する

(A)海洋性ビブリオ菌の野生型は極に1本だけべん毛を持ち、その位置はFlhFによって決定される。極べん毛の本数は、極におけるFlhFの量によって制御される。
(B)本研究で単離されたFlhF変異体。軟寒天培地における極べん毛運動能を左のパネルで、GFPを融合したFlhFの細胞内局在を右パネルで示した。空ベクターまたは野生型FlhFをもつプラスミドを極べん毛野生株のVIO5に導入した場合は運動リングを形成できるが、FlhF変異体(T436M, E440K)をflhF欠失株で発現させると運動リングは形成されない。また、T436MまたはE440K変異を持つFlhF-GFPは極局在能が著しく低下する。
(C)FlhFタンパク質の一次構造。T436M, E440K変異は4番目のGTPaseモチーフに生じていた。

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