論文紹介

第37回論文紹介(2021.6更新)

グループ名
分子修飾制御学グループ
著者

小原 圭介、嘉村 巧

タイトル(英)
The Rim101 pathway mediates adaptation to external alkalization and altered lipid asymmetry: hypothesis describing the detection of distinct stresses by the Rim21 sensor protein.
タイトル(日)
Rim101経路は外界のアルカリ化と脂質非対称の変化に対する適応をもたらす:センサータンパク質Rim21が異なるストレスを感知する仕組みに関する仮説
発表された専門誌
Current Genetics, 67(2), 213-218, 2021

細胞は数多くの細胞外ストレスに曝されており、それらに常に適応しながら生存している。出芽酵母などの菌類は、細胞外のpHが上昇(アルカリ化)した際に、Rim101経路を活性化して適応反応を惹起する。この経路では細胞膜に存在するRim21というセンサータンパク質が外界のアルカリ化を感知してシグナル伝達を開始する。
細胞膜は脂質二重層からなるが、その内外層で脂質組成や役割が大きく異なる。その様な「脂質非対称」の形成・維持あるいは局所的な変化は細胞の生存に必須であり、細胞はエネルギーを用いた脂質分子の内外層間反転移動によってこれを成し遂げている。私たちは以前に、Rim21が脂質非対称の乱れを感知し、Rim101経路を介して適応反応を引き起こすことを見出している。その発見以来、「外界のアルカリ化」と「脂質非対称の乱れ」という一見すると無関係な刺激のどちらをもRim21が感知する仕組みについては大きな謎となっている。今回、私たちは外界のアルカリ化が脂質分子の内外層間反転移動を強く抑制することを見出した。すなわち、外界のアルカリ化が脂質非対称の乱れをもたらし、Rim21がそれを通して外界のアルカリ化を感知している可能性が浮上した。この様に、長年の謎を解く仮説を提唱すると共に細胞膜の新たな役割についても議論した。

図:Rim21が外界のアルカリ化と脂質非対称の乱れを感知する仕組みに関する仮説

外界のアルカリ化は細胞膜脂質非対称の乱れをもたらし、それを通してRim21によって感知されると考えられる。

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