論文紹介

第37回論文紹介(2021.6更新)

グループ名
細胞間シグナル研究グループ
著者

Yuri Ohkubo, Keiko Kuwata and Yoshikatsu Matsubayashi

タイトル(英)
A type 2C protein phosphatase activates high-affinity nitrate uptake by dephosphorylating NRT2.1
タイトル(日)
2C型タンパク質脱リン酸化酵素は硝酸イオントランスポーターNRT2.1を脱リン酸化することにより高親和性の硝酸イオン吸収を活性化させる
発表された専門誌
Nature Plants 7, 310-316 (2021)

窒素は植物の成長に最も重要な栄養素のひとつであり、土壌中に存在する硝酸を主要な窒素源として根から吸収しています。この硝酸吸収の過程で主要な役割を担うのが、根の表面に存在する高親和性の硝酸イオン輸送体NRT2.1です。NRT2.1の活性はリン酸化修飾によってオフとなることが知られていましたが、この過程の可逆性や制御に関わる酵素についてはよく分かっていませんでした。今回の研究では、NRT2.1を脱リン酸化して硝酸吸収活性をオンにする脱リン酸化酵素CEPHを発見し、この過程が可逆的であるとともに、窒素欠乏に応答した硝酸吸収制御の重要なスイッチング機構であることを示しました。窒素欠乏下ではアミノ酸が新しく作れずタンパク質合成が十分にできなくなるので、窒素欠乏になってから硝酸イオン輸送体を増やすことは難しくなります。そのために、植物は窒素が十分あるうちに硝酸イオン輸送体NRT2.1をやや多めに合成して不活性型でストックしておき、窒素不足になった時にCEPHを使って活性化するという先行投資型のシステムを進化させたものと考えられます。

図1:

CEPHを介した硝酸イオン輸送体NRT2.1の活性化のモデル.(A)植物は窒素十分な場合に硝酸イオン輸送体NRT2.1を合成し,その多くをリン酸化して不活性型でストックしておく.窒素十分条件下では,脱リン酸化酵素CEPHはわずかしかつくられない.(B)窒素不足になると葉からの窒素要求シグナルCEPD/CEPDL2によって根でCEPHが強く誘導される.CEPHはNRT2.1のリン酸基を外して活性化し,硝酸イオン吸収を促進させる.

図2:

Nature Plantsの表紙に採用された写真.根からの硝酸イオンの取り込みを,培地のpH変化で間接的に可視化している.

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