論文紹介

第37回論文紹介(2021.6更新)

グループ名
植物生理学グループ
著者

Maoxing Zhang(本学研究員), Yin Wang(本学元教員), Xi Chen, Feiyun Xu, Ming Ding(本学学生), Wenxiu Ye(本学元研究員), 河合優弥(本学元学生), 戸田陽介(本学教員), 林優紀(本学教員), 鈴木孝征, Houqing Zeng, Liang Xiao, Xin Xiao, Jin Xu, Shiwei Guo, Feng Yan, Qirong Shen, Guohua Xu, *木下俊則(本学教員、責任著者), *Yiyong Zhu(責任著者)

タイトル(英)
Plasma membrane H+-ATPase overexpression increases rice yield via simultaneous enhancement of nutrient uptake and photosynthesis
タイトル(日)
細胞膜プロトンポンプの過剰発現は養分吸収と光合成を同時に促進することでイネの収量を増加させる
発表された専門誌
Nature Communications・12・735・2021年

植物は、根から窒素、リンやカリウムなどの無機養分を吸収すると同時に、葉の気孔から二酸化炭素を取り込み、光合成を行うことで成長しています。本研究では、イネの養分吸収と気孔開口について解析を行い、細胞膜プロトンポンプと呼ばれる酵素が共通して重要な役割を果たすことを明らかにしました。そこで、イネのプロトンポンプ遺伝子OSA1を過剰発現させた過剰発現イネの詳細な解析を行ったところ、野生株と比べ、根での無機養分吸収、気孔開口、光合成活性が20%以上増加していました。そこで、南京農業大学のZhu教授との共同研究により、野外の4ヶ所の隔離水田圃場において収量評価試験を行ったところ、過剰発現イネでは野生株と比較して、すべての試験において収量が30%以上増加することが明らかとなりました。さらに過剰発現イネでは窒素の施肥量を半分に減らしても、通常より収量が10〜20%多いことを見出しました。本研究の成果は、植物の成長と収量を高める技術のブレークスルーであり、また、世界的な食糧問題の解決、環境問題に大きく関わる二酸化炭素の削減、環境汚染の原因となっている肥料の削減などに貢献することが期待されます。本研究グループでは、この技術を用いた植物を「ポンプ植物」と名付け、今後、様々な有用植物での適用を今後進めていく予定です。

図1:イネの気孔の開口と根における養分吸収

気孔は太陽光によって開口し、光合成に必要な二酸化炭素の取り込み、蒸散を行う。根では、土壌中の窒素源となるアンモニウム、リン酸、カリウムなどの必須無機養分を吸収する。両過程において、細胞膜プロトンポンプ(OSA1)が重要な働きをしていることが明らかとなった。

図2:グラフィカルアブストラクト(ITbM高橋一誠作画)

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