論文紹介

第37回論文紹介(2021.6更新)

グループ名
微生物運動グループ
著者

小嶋 誠司、梶野 洸樹、平野 圭一、寺島 浩行、本間 道夫

タイトル(英)
Role of the N- and C-terminal regions of FliF, the MS ring component in the Vibrio flagellar basal body
タイトル(日)
ビブリオ菌べん毛基部体のMSリングを構成するFliFのN末端とC末端領域の役割
発表された専門誌
J Bacteriol 203:e00009-21 (2021); doi: 10.1128/JB.00009-21.

細菌べん毛回転子の一部を形成するMSリングは、大きなペリプラズム領域をもつ2回膜貫通型タンパク質のFliFが34分子集合して形成される。ビブリオ菌極べん毛においては、その形成位置と本数を制御する細胞質タンパク質のFlhFがMSリング形成に必要である。本研究では細胞質側に位置するFliFのN末端およびC末端領域に着目し、この領域の欠失変異体の機能とMSリング形成能を解析した。FliFのN末端領域を30残基(ΔN30)または50残基(ΔN50)欠失した変異体は機能を保持し、極べん毛運動能を示したが、C末端領域を83残基(ΔC83)または110残基(ΔC110)欠失させた変異体は機能せず、運動能を示さなかった。大腸菌内でΔN30 FliFまたはΔN50 FliFをFlhFと共発現させると、野生型FliFの場合より少ない数のMSリングが観察されたことから、FlhFはFliFのN末端領域に作用する可能性が示唆された。一方ΔC83 FliFはFlhF存在下で野生型と同程度のMSリングを形成したが、第2膜貫通領域を持たないΔC110 FliFはMSリングを形成できなかった。これらの結果から、FliFのN末端とC末端領域は異なる役割を持ち、N末端の細胞質領域はMSリングの効率良い形成に関与するのに対して、C末端の細胞質領域はMSリングの機能に必要であることが示唆された(図)。また、∆C110 FliFがMSリングを形成しなかったことから、少なくとも二番目の膜貫通領域がMSリング形成に必須と考えられる。

図1:

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