論文紹介

第37回論文紹介(2021.6更新)

グループ名
器官機能学グループ
著者

小山 航、細見 椋、松田 光司、川上 浩一、日比 正彦、清水 貴史

タイトル(英)
Involvement of cerebellar neural circuits in active avoidance conditioning in zebrafish
タイトル(日)
ゼブラフィッシュにおいて小脳神経回路が能動的回避学習に関与する。
発表された専門誌
eNeuro, (2021), DOI:10.1523/ENEURO.0507-20.2021

動物は光や音など痛みを伴わない刺激(CS)と、電気ショックなど痛みを伴う刺激(US)を連続して繰り返し与えると、両刺激の関係を学習し、CSのあとに恐怖反応を示すようになる。また、恐怖反応として、フリージングなど受動的な行動(古典的恐怖条件づけ学習)や、回避行動など能動的な行動(能動的回避学習)を示す。これまでの研究で、古典的恐怖条件づけ学習に小脳が関わることが示唆されてきたが、能動的回避学習に小脳が関与しているかについては知られていなかった。本研究では、ゼブラフィッシュ成魚を用いて能動的回避学習と小脳の関係を解析した。小脳神経回路を機能阻害するため、神経伝達物質の放出を阻害するボツリヌス毒素(BoTx)を小脳顆粒細胞やプルキンエ細胞特異的に発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ個体を作成した。さらに、ニトロリダクターゼ(NTR)によるメトロニダゾール(MTZ)の活性化により、後天的にプルキンエ細胞を細胞死させた個体を作成した(図1)。これらの個体に対し、能動的回避学習実験を行ったところ、対照群と比べて学習率が有意に低下していた(図2)。この結果はゼブラフィッシュの小脳が能動的回避学習実験に重要な役割を果たしていることを示唆している。

図1:小脳機能阻害系統の脳断面図

上段 小脳顆粒細胞阻害系統(152B::BoTxとcbln12::BoTx)と、プルキンエ細胞機能阻害系統(aldoca:BoTx)に対し、細胞マーカーとボツリヌス毒素を免疫染色した脳断面図(Neurod:顆粒細胞マーカー、Pvalb7:プルキンエ細胞マーカー)。

下段 プルキンエ細胞にニトロリダクターゼ(NTR)を発現させたトランスジェニック系統(aldoca:NTR)の脳断面図。メトロニダゾール(MTZ)処理により、プルキンエ細胞特異的に細胞死を誘導した。

図2:能動的回避学習実験の結果

小脳機能阻害個体に対し、能動的回避学習を行った。結果、全ての系統で小脳機能が正常な対照群よりも学習率が有意に低下していた。(*** p < 0.001, ** p < 0.01, * p < 0.05)

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