論文紹介

第37回論文紹介(2021.6更新)

グループ名
生体機序論グループ
著者

清水 達太、ストラヒル パストゥホフ、花房 洋、酒井 芳樹、等々力 靖子、久本 直毅、松本 邦弘

タイトル(英)
Caenorhabditis elegans F-box protein promotes axon regeneration by inducing degradation of the Mad transcription factor
タイトル(日)
線虫のFボックスタンパク質はMad転写因子を分解することで神経軸索再生を促進する
発表された専門誌
The Journal of Neuroscience 41, 2373-2381 (2021)

切断された軸索の再生機構は種を超えて保存されている。線虫Caenorhabditis elegansでは、切断された軸索の再生には、転写因子ETS-4による受容体チロシンキナーゼ(RTK)SVH-2の損傷神経での発現誘導が必要である。ETS-4はEts結合因子TDP2の線虫ホモログTDPT-1に依存したSUMO化誘導によって普段は負に制御されている。またTDPT-1は転写因子Maxの線虫ホモログMXL-1により負に制御されており、さらにMXL-1はMAD様転写因子MDL-1により負に制御される。軸索を切断するとMDL-1の分解が起こり、その下流で一連の反応が進行してSVH-2の発現が誘導されるが、MDL-1の分解がどのような因子により誘導されるのかこれまで不明であった。今回、MDL-1の神経切断依存的な分解を誘導する因子として、F-boxタンパク質SDZ-33を同定した。F-boxはE3ユビキチン(Ub)リガーゼと結合するドメインであるが、SDZ-33はF-box依存的にMDL-1をポリUb化することにより、その分解を誘導する。sdz-33を欠損した線虫ではその分解が起こらない結果、SVH-2の切断神経の発現誘導が起きず、切断軸索の再生率も低いままであった。これらの結果から、F-boxタンパク質によるMadの切断依存的分解が、RTKの誘導および軸索再生に必要であることが示唆された。

図:F-boxタンパク質によるMadの分解を介した神経軸索再生制御

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