論文紹介

第37回論文紹介(2021.6更新)

グループ名
生体機序論グループ
著者

酒井 芳樹、花房 洋、清水 達太、ストラヒル パストゥホフ、久本 直毅、松本 邦弘

タイトル(英)
BRCA1–BARD1 regulates axon regeneration in concert with the Gqα–DAG signaling network
タイトル(日)
BRCA1–BARD1はGqα–DAGシグナルネットワークと協調して神経軸索再生を制御する
発表された専門誌
The Journal of Neuroscience 41, 2842-2853 (2021)

乳がん原因遺伝子BRCA1とそのパートナーBARD1はE3ユビキチンリガーゼ複合体を形成し、がん抑制遺伝子として細胞周期を制御する。一方で、細胞周期の停止した分化神経細胞におけるBRCA1–BARD1の機能はほとんど分かっていない。今回、我々は線虫C. elegansにおいて、BRCA1–BARD1のホモログであるBRC-1–BRD-1が、成虫期の線虫の損傷した神経軸索の再生に必要であることを発見した。成虫期の線虫の神経軸索再生は、三量体Gタンパク質αサブユニット(Gqα)であるEGL-30がジアシルグリセロール(DAG)の産生を誘導することで正に制御される。一方でこの経路は、DAGをフォスファチジン酸(PA)に変換するDAGキナーゼ(DGK)によって負に調節される。我々は、BRC-1–BRD-1がDGKの1つであるDGK-3をユビキチン化して分解することで、DAGがPAに変換されるのを防いで神経軸索再生を促進することを見出した。さらに、BRC-1は通常核に局在しているが、軸索切断により活性化したプロテインキナーゼ A(PKA)によりリン酸化されると核から細胞質へと移行し、その結果細胞質に局在するDGK-3に作用できるようになることも判明した。以上のことから、BRC-1–BRD-1がGqα– DAGシグナル経路の調節を介して神経軸索再生を促進する仕組みが明らかになった。

図:BRC-1–BRD-1によるDGK-3の分解を介した神経軸索再生制御

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