論文紹介

第40回論文紹介(2022.10更新)

グループ名
脳回路構造学グループ
著者

Yifeng YJ Xu‡, YuMin Loh‡, Tai-Ting Lee, Takuro S. Ohashi, Matthew P Su†, Azusa Kamikouchi†(‡共同第一著者, †共同責任著者)

タイトル(英)
Serotonin modulation in the male Aedes aegypti ear influences hearing
タイトル(日)
蚊の「耳」ではセロトニンが聴覚機能を制御する
発表された専門誌
Frontiers in Physiology, 13: 931567 (2022)

蚊は、感染症を媒介することにより毎年数十万人規模で人を死に至らしめます。中でも、ネッタイシマカは急速にその生息域を広げていることから、世界的な脅威になりつつあります。殺虫剤は長年の間、蚊を退治するための有効な手段として使われて来ました。しかし近年、殺虫剤耐性を示す蚊が増えつつあり、新たな対策が必要とされています。

本研究では、ネッタイシマカの繁殖を制御するための新たな標的として、蚊の聴覚に着目しました。蚊は、昆虫の中で最大の聴覚器を持っており、この卓越した聴覚を駆使して配偶パートナーを見つけます。私たちは、ネッタイシマカの聴覚器の機能が、私たち人間の脳でも使われている神経修飾物質「セロトニン」によって制御されることを初めて発見しました。セロトニンは哺乳類から昆虫まで、多くの動物が共通に持つ、神経修飾物質です。今後、セロトニンに着目した研究を進めることで、ネッタイシマカの聴覚を標的とした新たな蚊の繁殖制御戦略の策定に貢献できると期待されます。

図:

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