第40回論文紹介(2022.10更新)
- グループ名
- 超分子構造学グループ
- 著者
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Caner Akıl, Samson Ali, Linh T Tran, Jérémie Gaillard, Wenfei Li, Kenichi Hayashida, Mika Hirose, Takayuki Kato, Atsunori Oshima, Kosuke Fujishima, Laurent Blanchoin, Akihiro Narita, Robert C Robinson
- タイトル(英)
- Structure and dynamics of Odinarchaeota tubulin and the implications for eukaryotic microtubule evolution
- タイトル(日)
- オーディン古細菌の微小管の構造とダイナミクス、それに基づく真核生物の微小管進化の考察
- 発表された専門誌
- Science Advances DOI: 10.1126/sciadv.abm2225 2022
古細菌の一種Odinのチューブリンホモログの構造と動態を解析した。チューブリンは真核生物ではαとβが存在し、この二つが結合したダイマーを単位として重合、微小管を形成し、細胞分裂時の染色体の分配をはじめとする多くの機能を持つ。Odinチューブリンホモログは真核生物の微小管と配列は34-35%程度の一致度しかなく、αとβにも分かれていないが、その構造はヒトチューブリンと驚くほど一致していた。また、真核細胞の微小管と同じように、ヌクレオチドを結合し、重合してチューブを形成した。しかし、そのチューブは、直径100nmもの太さを持ち、プロトフィラメントがコイル状に巻いて形成される。これは縦方向にプロトフィラメントが平行に並んで直径20nmほどのチューブを作る微小管とは全く異なる。原核生物の微小管ホモログFtsZはリング構造を作ることを考えると、Odinチューブリンが作るチューブはFtsZと真核チューブリンが作る構造の中間に当たると考えられ、微小管の進化の観点から見ても重要である。

今後の予定