第40回論文紹介(2022.10更新)
- グループ名
- 脳回路構造学グループ
- 著者
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Ryoya Tanaka, Hiroki Takekata, Yuki Ishikawa‡, Azusa Kamikouchi‡(‡共同責任著者;下線:脳回路構造学グループの構成メンバー)
- タイトル(英)
- Mate Discrimination of Colocasiomyia xenalocasiae and C. alocasiae (Diptera: Drosophilidae) as a Possible Factor Contributing to their Co-Existence on the Same Host Plant
- タイトル(日)
- 同一寄主植物上で共存するニセクワズイモショウジョウバエとクワズイモショウジョウバエの配偶者識別
- 発表された専門誌
- Journal of Insect Behavior 号:35ページ:44-55 年:2022
配偶者識別は異種間の交配を避けて近縁な動物種が共存すために重要です。特に、近縁な2種が同所的に混在して共存する場合に異種間交配のリスクが高まると考えられ、配偶者識別がより重要であると予想されます。しかし、こうした状況下での配偶者識別についてはこれまであまり調べられていませんでした。
ニセクワズイモショウジョウバエとクワズイモショウジョウバエは、どちらもクワズイモの花の内部で混在して共存しています。本研究では、同種または異種に対する配偶行動を観察することで、これら2種の配偶者識別を調べました。
まず、ニセクワズイモショウジョウバエとクワズイモショウジョウバエの配偶行動を記載しました(図1)。次に記載した情報に基づいて、オスが同種または異種のメスに出会った時の配偶行動を定量しました。その結果、どちらの種のオスも同種のメスには盛んに配偶行動を示すが、異種のメスにはほとんど配偶行動を示さないことがわかりました(図2)。この結果は、ニセクワズイモショウジョウバエとクワズイモショウジョウバエは互いに配偶相手を識別していることを示します。さらに、これらの種のオスとメスは互いに出会った直後に配偶相手を識別していることがわかりました。発達した配偶者識別により異種間交配を避けることが、限られた空間の中で互いに近縁なハエが共存することにつながっている可能性があります。

今後の予定