第40回論文紹介(2022.10更新)
- グループ名
- 分子神経生物学グループ
- 著者
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Shunji Nakano, Airi Nakayama, Hiroo Kuroyanagi, Riku Yamashiro, Yuki Tsukada and Ikue Mori
- タイトル(英)
- Genetic screens identified dual roles of MAST kinase and CREB within a single thermosensory neuron in the regulation of C. elegans thermotaxis behavior
- タイトル(日)
- MASTキナーゼおよびCREB転写因子は線虫C. elegansの温度受容ニューロンにおいて複数の作用を介して温度走性行動を制御する
- 発表された専門誌
- G3 Genes|Genomes|Genetics in press 2022
ヒトを含めた動物は、環境が時間と共にどのように変化するかを感知して、行動につなげています。線虫C. elegans一定の温度で餌を与えて飼育すると、この温度を好むようになり、温度が変動する環境の中で過去の飼育温度を探して移動することが知られていました。この行動を実行するには、餌があったときの温度を記憶して、その温度と環境の温度を比較することが重要と考えられますが、私たちのグループは、このような情報処理が単一の感覚神経細胞によって行われていることを明らかにしてきました。しかしながら、この細胞でどのような分子が働いてそのような高度な神経機能が実現しているのかは不明でした。今回、私たちは、こうした神経機能に必要な遺伝子を探索し、線虫からヒトまで進化的に保存されたCREBとよばれる遺伝子が重要な働きをしていることを突き止めました。この発見から、線虫からヒトまで共通したメカニズムが、記憶や学習といった重要な神経機能を支えていると考えられます。

今後の予定